2014年

8月

05日

◆④大草原の小さな失態

 

●脚本家より一言: 今度は、このイタリアの大草原の中の山小屋の写真を紹介して、「これはイタリアの『大草原の小さな家』ですね』とコメントしたところ、またもや迷優マッキーが、ここを舞台にチャールズをやりたいと言い出しました。しかも今度は、いつも三枚目ばかりなので、二大名作西部劇の「シェーン」のアラン・ラッドと、「荒野の決闘」のワイアット・アープを演じたヘンリー・フォンダのキャラにしてくれというのです。この人は昔から、ちょっと空想を始めると、白馬を担いだ王子様とか(注・重くて白馬がつぶれるので、乗れないのです)、自分がヒーローになった気になるという困った癖があります。さすがに私も、そりゃムリだと思いましたが、盟友ですので、なんとかムリにムリをして願いをかなえてやることにしました。また、このところちょっとアルツの気があるのですが、それもキャラとして生かしました。

 

 

 

時: 19世紀末

 

ところ: イタリアの田舎(マコロニウェスタンの舞台)

 

配役: 

 

ワイアット・シェーン・チャールズ・インガルス(マッキー・コンノ)

 

妻クレメンタイン・インガルス(フジコ・フジキ)

 

ジョーイ・インガルス(フミエ・コイズミ)

 

 

 

マッキー・インガルス「じゃあ母さん、東部の町まで行ってくるよ。少し長旅になるけど、留守をしっかり頼む。」

 

クレメンタイン「お気をつけて。くれぐれも、私がいないからって、バカ食いしないでね。」

 

マッキー「分かってる。俺ももう若くはないから、無茶はしないさ。お前の名が好きだよ。…名前、なんだっけ?」

 

クレメンタイン「あら、お忘れになったの? クレメンタインよ。(モノローグ)毎朝、同じことを言ってるわ。」

 

マッキー「クレメンタインか。いい名だ。」(注:「荒野の決闘」のラストシーン、ワイアット・アープの名セリフです。動画参照)

 

(マッキー、愛馬トシナンデにまたがって、静かに去っていく。この馬の名は、マッキーの注文で、「ドンキホーテ」の愛馬ルシナンテにあやかって付けたもの。彼も、自分の誇大妄想的性格は自覚している。)

 

そのはるか後ろから――。

 

ジョーイ(注:髪を短く切って「シェーン」の少年に扮装)「パパ~~! カムバ~~~~ック!」

 

(シェーン・マッキー、馬上から振り返る。その途端、愛馬トシナンデ、どーと崩れ、マッキー、地面に投げ出される。)

 

マッキー(モノローグ)「ああ、やっぱり重すぎたか…。道は遠いが、しょうがない、担ぐとするか…。」

 

ナレーション: すると不思議、このロバは、じゃなかった、馬は、初めて口をきいたのです!

 

トシナンデ「旦那に担いでもらってすんません。何せあたしも、旦那と同じ、もうトシナンデ。」

 

ラストシーン: 大草原に夕日が沈む。マッキー、トシナンデを担ぎ、「まさか妻たちは見ていまいな」と時々振り返りながら、一歩一歩、歩いていく。その姿が次第に黒い小さなシルエットとなる。哀愁を帯びたBGM(マカロニウェスタンのエンリオ・モリコーネ風)、次第に消えて――。

 

THE END

 

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2014年

8月

05日

◆③珍説 ロミオとジュリエット(後編) 

 

●脚本家より一言: ところが、前編を公開したところが、熱烈なマッキーファンの女性たちが、コメントで様々なグッズの差し入れをして、必死でロミオの願いに応えて減量しようとするマッキーを応援しだしたのです。これをうっかり無視したら、彼女たちのリベンジが怖いと判断しまして、急きょ、後編を制作することにいたしました。

 

時と所は同じです。

 

配役: ロミオ(マッキー・コンノ)

 

     女たち①(ノリコ・シオザワ)

 

     女たち②(フジコ・フジキ)

 

     マッキーの奥様(ご本人)

 

 

 

ナレーション:愛するジュリエットに悲しい別れを告げられたマッキー・ロミオは、ひそかにある決心をしました。

 

ロミオ「(モノローグ)ああ、ジュリエット…。よし、僕はどうなってもいい。彼女の願いに最後まで応えよう!」

 

ナレーション: こうしてロミオは、麓を目指して、ドタドタと走り出したのです。

 

ロミオ「フー…ヒー…。よし、ここまで下ったら、今度は登りだ。ジュリエット、待っててくれ!」

 

ナレーション: 1往復、2往復…、でも、もうロミオの体は、限界でした。心臓はバクバクし、汗もとっくに出尽くし、足はと言えば、でこぼこ道で痛くてもう一歩も進めません。とそこへ、彼についてきた追っかけの女性たち2人が駆け寄りました。

 

女①「ロミオ様、どうぞお水を。そしてこの携帯用酸素も。」

 

女②「ロミオ様、どうぞ運動靴にお代えになって。」

 

ロミオ「(少し元気づき)ああ、ありがとう。(モノローグ)16世紀には運動靴も携帯酸素もないはずだけど、ま、いっか。(2人に)女たちよ、私のために泣いてはいけない。(モノローグ)ちょっと恐れ多いけど、ゴルゴタに向かわれた時のイエス様の気分だよ。(2人に)よし、最後の1回だ。行ってくる。僕に万一のことがあったら、後を頼む。(ヨタヨタ走り出す)…フー ヒー フー……ヒー……、ダメだぁ!」(ばたりと倒れる。)

 

ナレーション: それが限界でした。マッキー・ロミオは、本当に“末期ー”になってしまったのです。彼は、2人の女たちに抱えられて、最後の息を振り絞って、こう言いました。

 

ロミオ「お城に行って、ジュリエットに伝えてくれ。『私は、君の言うとおりに頑張った。そして、君の名を呼びながら死んでいった』と。」

 

女の一人、少しは身軽な方が、一目散にお城に駈けていき、ジュリエットに彼の最期を伝えました。

 

ジュリエット「まぁ…。(泣きながら)あの太った体じゃとてもムリなのに、本当に走るなんて。私を本当に愛してくださっていたのね。ああ、ロミオ、ロミオ、私、もう一生結婚はしないわ。そして、天国で彼と結ばれるわ!」

 

ナレーション: …と、ここでロミオことマッキーは目が覚めました。目の前には彼が世界中の誰よりも恐れ敬うオオカミサマが…。

 

マッキー「ああ、ジュリエット、…じゃない、僕の奥さん。」

 

奥様「なに寝ぼけたこと言ってんの。ほらもう起きないと会社遅れるわよ!」

 

ナレーション: マッキーは、心の中で「生きててよかったぁ」と思いました。そして、死ぬ思いをして痩せた分を、今日中にバリバリ食べて取り戻すぞ、と心に誓ったのでした。それが夢の話で、体重は相変わらず太ったままなのも忘れて――。(おしまい)

 

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2014年

8月

05日

◆②珍説 ロミオとジュリエット(前編)

 

●脚本家より一言: 事の起こりは、FB上にこのドイツの古城の写真を紹介したところ、自称名優、本当のところは迷優であり私の盟友でもあるのマッキー・コンノが、何を思ったか、この城を舞台に、「ロミオ・とジュリエット」をやりたいと申し出たのです。二人とも一度死んだわけだし、イタリアからドイツでは設定にムリがあると思ったのですが、言い出したら聞かない人なので、ムリついでに、ではここはひとつ、二人とも生き返り、ジュリエットは悲恋の悲しみのあまり、このドイツのお城の王様に嫁いで幾星霜…、ということにいたしました。

 

 

 

時: 中世

 

ところ: ホーエンシュヴァンガウ城: ドイツ・バヴァリア地方

 

 (あのノイスヴァンシュタイン城を造ったルードウィヒ二世の幼少期のお城です。)

 

配役: ロミオ(マッキー・コンノ)

 

(お城のバルコニーで、かの名場面の数十年後の再現の場)

 

ジュリエット「ああ、ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはそんなにお太りになったの? あなたを長いことお待ちしてたのに。麓まであと10回ぐらい往復して、体重落として、必ずここまでお登りになって!」

 

ロミオ「ジュリエット、ムリだ。その前に死んじまう!」

 

ジュリエット「ああ、神様。40年後のこの方を想像できなかった私がバカでした。さようなら、ロミオ!」

 

ナレーション: かくして、この世紀の悲劇は、本当に幕を閉じたのです。

 

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2014年

8月

05日

◆①トリたちの挑戦

 

時: 現代

 

ところ: 東北のさる農場

 

配役: (右から左へ)

 

A太郎

 

B

 

C(フジコ・フジキ)

 

D作(マッキー・コンノ)

 

 

 

A太郎「もうすぐ農場祭りだな。村の衆がわんさか押し寄せるべ。」

 

B助「ンだ。若いもんがまだいろいろステージでやるべな。」

 

C子「わだしらもやりでぇな。昔、青年団時代に組んでだカルテット合唱はどんだべ?!

 

D作「ムリだべよ。もう50年も前の話だ。こんなに老けだし、太っだし。」

 

A太郎「うんにゃ、若いもんに負げでらんね。早速リハだ。」

 

B助「よし、やっか。さぁ腕組んで、かっこよく!」

 

C子「ンだば、行ぐよぉ! ♪山のむ~す~めは~ ラ ラ ラララン♪」

 

D作「おっ、ほら、牛もダチョウも寄ってきだよ!」

 

4人、若い頃に帰って1曲歌い終える)

 

A太郎「とごろで、何組も出る中で、おれだぢ、いづ頃だべが?」

 

B助「やっぱし最初だべ、年寄りさ花持だせでよ。」

 

C子「いやぁ、最後の特別ハイライトだでば。」

 

D作「なして?!

 

C子「決まってるべ、わだしら、トリだもの。」

 

3人「じぇじぇ!」

 

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