◆真実を知るべき本当のワケ◆

1 《悪と善の実体を知るべき本当のワケ》

“想像的な悪”は、ロマンティックで多様性に富んでいます。“本当の悪”は、陰鬱で、単調で、不毛で、退屈なものです。

“想像的な善”は、退屈なものです。“本当の善”は、どんなときも新しく、信じられないほどすばらしく、心を酔わせます。

~シモーヌ・ヴェイユ~

【解説】 この20世紀フランスの女性思想家の言葉は、人生の深淵を衝いています。善と悪について考えたとき、想像の世界と現実では、その性質が全く逆転するということです。したがって、これは想像世界の中の善と悪を、決して現実の中に持ち込んではいけないという彼女の“警鐘”でもあるのです。

Imaginary evil is romantic and varied; real evil is gloomy, monotonous, barren, boring. Imaginary good is boring; real good is always new, marvelous, intoxicating. – SimoneWeil

 

2 《主の復活がすばらしい本当のワケ》

イエスの復活の良き知らせは、私たちはやがて死に、主と共に“天の家”に帰るということではなく、主はよみがえり、飢えて、裸で、渇いて、病んでいる、ご自身の全てのきょうだいたちを引き連れて、“私たちの家”に帰ってこられるということなのです。

~クラレンス・ジョーダン~

(ヨハネ14:19) 「いましばらくで世はもうわたしを見なくなります。しかし、あなたがたはわたしを見ます。わたしが生きるので、あなたがたも生きるからです。」

【解説】 私たちは、主のよみがえりを、“眠った者の初穂”として、やがて私たちがこの世を去るときの同伴者としてのみ考えがちですが、そうではない。復活の主は、まず現実に、私たちの内に“インマヌエルの主”として生きていてくださいます。そしてかの日には、この世では報われなかった多くの人々を引き連れ、もはや死も苦しみも悲しみもない新天新地を完成なさるために、再びこの地上に降り立たれるのです。主の復活の本当のすばらしさは、私たちから死の恐怖を取り去り、苦しみ多き現実を生きていく勇気と力を与え、すでに地上を離れた愛する人々と共に、やがて霊の体によみがえり、主と共に永遠に生きる希望を与えられるところにあるのです!

The good news of the resurrection of Jesus is not that we shall die and go home to be with him, but that he has risen and comes home with us, bringing all his hungry, naked, thirsty, sick prisoner brothers with him. - Clarence Jordan

 

3 《似て非なるものを見分けるべき本当のワケ》

好ましさは、優しさと同じではありません。

礼儀正しさは、尊敬と同じではありません。

単なる丁寧さは、温和さと同じではありません。

施しは、公正さと同じではありません。

立派さは、善良さと同じではありません。

寛容は、愛と同じではありません。

~マーク・ヴァン・スティーンウィク~

【解説】 この両者を識別するのは、現実には極めて難しいことです。いずれも、カギは心の内部の問題だからです。共通して言えることは、それぞれの前者は人の外面に現れた良い態度、後者は内面の真の性質です。私たちは、前者のような態度で他者から接せられる場合でも、自分が他者に対して示す場合でも、それが後者のような性質と動機からなされているのかを、問わなければいけません。後者から出たものではない前者は、イエス様が最も激しく問われた“偽善”につながるからです。最後の1行などは、あのⅠコリント13:4「愛は寛容であり」をすぐ思い浮かべて「え?」と一瞬驚くのですが、この寛容は、まずその前の1~3節、「愛がなければ」で問われなければならないのですね。

Niceness isn't the same thing as kindness. Politeness isn't the same thing as respect. Civility isn't the same thing as gentleness. Charity isn't the same thing as justice. Respectability isn't the same thing as goodness. Tolerance isn't the same thing as love.

Mark Van Steenwyk

 

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