◆主よ、”思い出キルト”を作らせてください◆

夜明けは暗黒のあとに訪れます。こんな約束を携えて――。

”海で引き裂かれたものは、なくなったのではない。

人生の全ては、破れと繕い、裁断と針縫い、ぼろの寄せ集めと継ぎ目の縫い合わせなのだ“と。

 

人生の全ては、かつてあり、今はもうないものをキルト縫いしたもの――かつて住んだ場所、つくった思い出、知りえた人々、いずれも、長い間愛されていたのに、いつしか擦り切れて、もはや着ることのできなくなったものです。

 

私たちは、その“切れはし”を持っているだけ。あらゆる色、あらゆる形、あらゆる大きさの――。

その全ては、主よ、あなただけに見える模様に縫い上げられるのを待っています。

嵐のあとの静けさの中で、私は、あなたが囁かれるみ声を聴きます。

「娘よ、今いるところにしがみついていてはいけない。あなたの針と糸を取って、”繕い”に出かけるのです」と。

 

~ライザ・ウィンゲイト 「祈りの箱」より~

 

【解説】 私たちの一度限りの人生を、この女性詩人は、かくも美しく、かくも切なく、かくも雄々しく一編の祈りに謳い上げました。かつてあれほど愛し、いとおしんだものが、次第にほころび、目の前から一つ、また一つと消えていく――、これが人生です。でも、私たちは、決して呼び戻すことのできない”過去”の殻に閉じこもっていてはいけないのです。「ここから動きたくない」と涙にくれて、いつまでもとどまっていてはダメなのです。そのために神様が、あわれみによって残してくださったものが、“思い出の切れはし”です。たとえほんのひと切れでも、それはあなたの心の中で、何と輝いていることでしょう。それらが、あなたの手で、ひと切れ、ひと切れ、キルト模様につなぎ合わされていくとき、神様は、その全ての模様を慈しみのまなざしでご覧になり、あなたにお返しくださるのです。あなたが、針と糸を手に取って、“思い出キルト”をつくりに一歩を踏み出しさえするなら――。

 

Dawn comes after the darkness, and with it the promise that what has been torn by the sea is not lost. All of life is breaking and mending, clipping and stitching, gathering tatters and sewing seams.

 

All of life is quilted from the scraps of what once was and is no more

- the places we have been, the memories we have made, the people we have known, that which has been long loved but has grown threadbare over time and can be worn no longer.

 

We keep only pieces. All colors, all shapes, all sizes.

"All waiting to be stitched into the pattern only You can see.

"In the quiet after the storm, I hear You whisper, 'Daughter, do

not linger where you are. Take up your needle and your thread, and go see to the mending ...

 

Quote from the book ~ The Prayer Box / Author: Lisa Wingate