◆結婚は天の祝福の遺産◆

 

結婚は、人間に残されたパラダイス(楽園)の最後の“名残”であった。そしてイエスは、彼の最初の奇跡で、それにふさわしい栄光を与えにることに、積極的に関わられたのだ。(訳注: カナの婚礼の奇跡。ヨハネ2章)

 

 

 

【解説】 スポルジョンの結婚の解釈がまたユニークです。創世記2章の語る“楽園”は、最初の人間であるアダムと、彼にふさわしい”助け手”であり、その骨からの骨、肉からの肉であるエヴァの誕生によって、祝福の頂点に達しました。狡猾なサタンは、この時から今に至るまで、“高み”にいる人間を奈落に引き落とすべく狙います。こうして人間は最初の罪を犯し、サタン(3:1415)、男(3:1719)、女(3:16)それぞれに対する神様の裁きの宣告と共に楽園を追われました。それ以来人類は、額に汗する労働と、男の女に対する支配と、憎しみと裏腹の女の愛の苦しみと、出産の肉体的苦痛を味わうことになりました。

 

こうして人間は、楽園で享受していた恵みと祝福の多くを失ったのですが、スポルジョンは言うのです。地上の“結婚”こそは、その中にあっても、最後に残された楽園の祝福の名残なのだと。そして、あたかもそれを私たちに証明してくださるように、神のみ子のイエス様は様々な奇跡を差し置いて、この結婚の宴において、水をぶどう酒に変える最初の奇跡をもって、人類の結婚の秘義を(2:24)神の栄光に満ちたものとして再認証なさったのだと――。

 

それだけではありません。神様は、結婚を本来の祝福の姿に戻すために、聖書全体を通して、“まことの愛”とはどのようなものかを私たちに教えてくださり(コリント13章)、男女の自我のぶつかり合いの結果、多くの結婚が危機に瀕している現実に対しては、互いに相手の弱さと欠けを思いやり、自分よりもまず相手の喜ぶことをしてあげることによって、“愛だけが人間の罪を覆う”のだということを教えてくださいました(Ⅰペテロ4:8)。私たちが愛することに疲れ、その規準の高さに絶望するとき、聖書は、“そのままで、このお方のもとに来なさい。ここに愛があるのです”と招いてくださいます(Ⅰヨハネ4:10)。

 

そして最後に、聖書は、花婿なるキリストに対して、私たちキリスト者を、そしてキリストの体なる教会を、“キリストの花嫁”として召してくださったと告げます。楽園での最初の夫婦への祝福に始まった結婚は、ひとたび罪のゆえにその祝福を失ってしまいましたが、イエス・キリストの十字架の贖いによって、その回復への道を歩むものとされ、やがて天の小羊の婚宴によって、永遠に完成されるのです(エペソ5:2227、黙示録19:79)。

 

 

 

Marriage was the last relic of paradise left among men, and Jesus hasted to honour it with His first miracle.