◆あなたは世の海に浮かぶ”船”です◆

 

“時代にはびこる霊”を知り、それへの順応には意識的に抵抗しなさい。D. L. ムーディーが言ったように、「船は世界の海の一部だが、その海水が船の中に入ってきたら、船は沈んでしまう」のです。

 

~ジョン・パイパー~

 

 

 

 

【解説】 これは、“現代の預言者”の一人、ジョン・パイパーが、1世紀前のムーディーとスクラムを組んで、キリスト者の世俗化への警鐘を鳴らした一節です。この霊のもたらす危険性から身を守るには、

 

  1. ”その時代の霊”をよく見抜くこと。原語のspiritは、よい意味では”精神”とも訳されますが、悪い意味では、もちろんその元凶は”悪霊”(サタン)ですから、例えば1940年代のヨーロッパを覆っていたのは、アーリア人種による世界帝国を夢想した一人の権力への狂信者ヒトラーをほしいままに用いた、“ホロコースト(大量虐殺)の霊”でした。この悪しき霊は、今もテロリズムとして、中東を中心に、世界を恐怖に陥れています。そしてもう一つの霊が、物質至上主義の”世俗化の霊”でしょう。人がモノ・カネに至上の価値を置くとき、反比例して愛は冷えていくのです。

  2. その霊の危険性に気づいたら、「意識的に」(一つ一つの事象の中に、その空気を、その“におい”を覚えて、感知して、自覚して)抵抗すること。人類の歴史上、国家権力による弾圧や支配も、あるいは宗教的に堕落した組織も、最後には、良心に従って、時には命を捨てて“抵抗”した人々によって崩壊したのです。

  3. しかし私たちは、神様によって、この世に遣わされた者であることを忘れてはなりません。自らの聖性を守るために、この世に背を向け、人々と共に生きることをやめたら、私たちはたちまち”塩気”を失い、炎の消えた灯心をくすぶらせるだけの存在に堕してしまい、早晩この世を出てしまわなければならなくなります(Ⅰコリント510)。ムーディーによれば、私たち”船”は、あくまで海の一部(belong 海に属するもの、あるべきところにあるもの、海にふさわしいもの)であり、そこを離れては、役に立たない、無用の長物として朽ち果てるしかないのです。けれども、大切なのは水の“上”に浮かんでいることです。世俗化の“波”をもろにかぶり、そのままにしていたら、どんどん船底に水がたまり、許容量を超えたらひとたまりもなく転覆してしまいます。

 

この世に進んで出ていき、この世にありながら、この世の霊に打ち負かされずに生きる、そこにキリスト者の闘いと使命があります。独りでは決してやりおおせない熾烈な戦いです。何度となく水をかぶります。沈みそうになります。そのたびに主イエスに手を差し出して、引き上げてもらいながら、日々を歩んでまいりましょう。

 

(ヨハネ16:33 「わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、あなたがたがわたしにあって平安を持つためです。あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすでに世に勝ったのです。」

 

 

 

 

Know the spirit of the age and consciously resist conformity to it. As D. L. Moody said, The ship belongs in the water of the world, but if the water gets in the ship, it sinks.

 

-John Piper-